3つのR


 彼はきゅっと片眉を上げて、私の言葉を遮る。

「DVを考えているなら残念でした。俺ってば優しくて格好よくて料理も上手なのにどうして女の子はいつも去っていくのだろうか!・・・まあ確かに気が短いしよく怒鳴るしちょっと細かいかもだけど!」

 ・・・ならそれが原因なのでは?と思ったけど、黙っておいた。ここまでがっつり自分を褒め称える人は珍しい・・・そう思ってから自分の中で訂正する。いやいや、私の元夫も自分を天才だとよく褒めていたな、と思って。

 何やら色々思い出して凹んだらしい龍さんはガックリと肩を落としてシンクにもたれている。私はそれがちょっと可愛く思えて、カウンター越しに手をのばす。

 そしてその茶色の頭を撫でようとして――――――――自分がしようとしていることに気がついた。ハッとして手を引っ込める。・・・うわあ、私ったらほぼ初対面の男性に今、何しようとした!?じんわりと汗が出てきたのが判った。

 い、い、犬とか猫じゃないわよこの人!!大きな男の人で、私は友達ですらないんだからねーっ!!撫でようとか、撫でようとか・・・ちょっとちょっと!

「ま、いいんだけど。どうせ俺はいつも本気の相手にはしてもらえねーんだ」

 不貞腐れたような言葉を言って、彼はヒョイと顔を上げた。そして右手を抱きしめて固まる私を見て首を傾げる。


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