3つのR


 犬は走り回れるのが嬉しいらしく、しきりに吼えては子供達の周りをぐるぐる回る。外したリールを抱えたままで、兄弟らしい子供達が歓声を上げてはしゃいでいた。

 それはとても平和な光景で、見ているこちらも楽しくなった。犬が子供の一人にもたれかかり、子供の顔を舐めまくっている。きゃあきゃあと悲鳴を上げながら男の子が笑い転げる。

「――――――おおー、何か楽しそうだな、あいつら」

 龍さんも同じものを見たらしい。声に羨ましさがこもっていて、私はちょっとからかいたくなった。

「遊びたいんですか、犬と?」

「うん。昔、飼ってたんだよ、ちょうどあのくらいの大きさの犬をさ」

 両手で庇を作って犬と遊ぶ子供達の方をじっと見ながら彼が言った。

 ふうん・・・まあそれはありそうなイメージ。私がそう思っていると、彼は堤防を勢いよく降り出した。

「え、え?」

「遊んでくるー!ジュンコさんもおいでー!」

「え」

 遊んでくる?って、彼らと??私は呆気に取られている内に彼は川原までおりていき、そのままスタスタと子供達と犬の方へ向かった。

 ・・・あらまあ、何て行動的。あの子供達に不審がられなきゃいいけど・・・。でもその心配は杞憂だったようだ。彼は子供の一人に話しかけ、そのまますぐに一緒になって遊び出した。

 笑い声に大人の声がまじる。それが春の風にのって私のいるところまで流れてくる。



< 61 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop