3つのR


「・・・あはは、遊んでる~」

 私も片手で影を作って、その平和な光景を見ていた。すると、犬に圧し掛かられて草の上に倒れていた龍さんが、大きく手を振った。

 どうやら来いって言っているらしい。・・・え、あのー私はここでいいんですけど。

 そう思ったけど、彼は片手でおいでおいでをしまくる。中々諦めなさそうな感じよね、あれ。

 どうしましょ。でもここから叫んでも、風下にいる私の声なんて届きそうにないしな。そう思って、仕方なく私も水際まで降りていった。

 ブロックの堤防を降りたのなんて子供の時以来だ、そう思って、ちょっとワクワクしたのに気がついた。

 私ったら、楽しんでるじゃない。でも運動靴で来たら良かったな。今日履いている靴は5cmヒールでそんなに高くはないけれど、あくまでも近所へ行くようだったのだ。

 大丈夫かな、私。

 だけど一度生まれた楽しい気持ちは体までもを弾ませた。私は笑顔になって彼らに近づく。男の子の兄弟にこんにちは、と挨拶をして、犬の下で馬鹿笑いをしている龍さんに言った。

「重くないですか?」

「重いよそりゃ!あはははは、こそばいこそばい!」

 耳を舐められてきゃあきゃあ言っている。頭には草がたくさんついてしまっていた。


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