3つのR


 走る。

 腕を振って。

 髪が後ろに流れて。

 ワンピースの裾が足に当たってパタパタと音を立てる。

 昼下がりの日差しが眩しくて前がよく見えない。

 笑い声を上げながら駆けて行く、茶色の犬と二人の男の子と大きな男の人の背中を追いかけていく。


 久しぶりに、何年ぶりかわからないほど久しぶりに走った。考えなくても足は勝手に前に出る。地面を蹴って、私の体を先へと運ぶ。ハ、ハ、と自分が息を吐くのが耳の中に響いていた。

 走ってる。私が。ああ、久しぶりで・・・だけど気持ちいい――――――――――


 ワクワクしていた。

 新しい出会いは重なり、私は一瞬子供の頃に戻ったかのような感覚だったのだ。

 だけど、当たり前だけど戻ってなんかいなかった。

 私はやっぱり病弱な33歳で、十分すぎるほど運動不足だったのだ。


 ・・・はあっ・・・はあって・・・呼吸が乱れた。目の前が回って、うまく息が出来ない。足を止めてフラフラとうずくまった。



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