ラベンダーと星空の約束
 


しゃがみ込み体を隠す。

慌てて出て行く流星を睨みつけた。



そうだった…
流星は朝風呂派なんだよ。

寝ぼけていたけど…見た…よね?

見てしまったよね?
小ぶりで未発達な私の胸を…



恥ずかし過ぎる…

早起きしてシャワーなんか浴びるんじゃなかった。
最悪…




私の悲鳴を聞き、
すぐさま駆け付けた他の住人に、流星はこっぴどく叱られていた。



亀さんが私に謝ってくれる。



「月岡さん、すまない。
壊れた鍵を放っておいた俺にも責任はある。

本当に申し訳ない。
今日中に修理業者を手配するから許してくれ」



「…気にしないで下さい…
鍵の修理はお願いします…」




流星が私に何かを言いかけていたが、

恥ずかしくて、謝罪も言い訳も聞いてあげる余裕はなかった。



赤い顔を隠すようにタオルで覆い、自室に駆け込んだ。




濡れた髪を拭きながら溜息をついていると、ドアがノックされた。


流星かと思い焦ったけど、聞こえてきたのは瑞希君の声だった。



「忘れ物だよ」



忘れ物?
何か忘れ……あっ!


瑞希君が届けてくれた物は、紫水晶の指輪をくぐらせたネックレス。



しまった…
こんな大切な物を忘れるなんて……



恥ずかしさの余りに気が動転し、脱衣籠に置き忘れていた。



見つけてくれたのが瑞希君で良かった…

そう思い胸を撫で下ろしたけど、
瑞希君は逆のことを思ったみたい。




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