ラベンダーと星空の約束
「射手座がどれか分かったよね?
その中に北斗七星を縮小したような並びの、6つの星があるんだけど…分かるかな?」
「分かるよ。
あそことあそこの……でしょ?」
「そう!あれが南斗六星って言うんだ。
中国神話では北斗七星が『死を司る神』。
南斗六星が『生を司る神』って言われてる。
人間の寿命はこの2人の神様が話し合って、
生まれる時に決められると信じられているんだ」
「寿命……」
この中国神話を聞くのは初めてだった。
5年前には言われなかった話し。
流星がこの神話を知ったのはきっと、あの夏以降のことなのだろう。
寿命…
生と死……
心臓疾患と闘いながら、
どんな思いでこの話しを耳にしたのか…
星空を見つめながら、
息苦しそうな幼い流星を思い出していると、
夜空を指し示していた右手がゆっくりと下がり、
私の体に回され、きつく抱きしめてきた。
柔らかい髪の毛が、私の耳と頬をかすめる。
肩に顎を付けて喋るから、
流星の声の振動が直接体に伝わってくる。
「ゆかりちゃん…
北斗七星と南斗六星の2人の神様はさ…
俺の寿命を何年て決めてたのかな……
心臓移植が受けられなかったら、俺って今ここにいないと思うんだ。
神様が決めた寿命より、長く生きてんのかも知れない。
龍之介さんは定められた寿命を全うして死んでいったのに…
俺は神の意志に反して生き続け……
これで本当に良かったのかな………」