ラベンダーと星空の約束
 


みんな笑顔で写っているこの写真のタイトルは、

瑞希君が考え
『変四和(カシワ)+鈍感娘』
と変なタイトルを付けられた。



私なら『絆』とか『大切な仲間』とか、もっとマシなタイトルを付けるけど…まぁいいや。




ここまで9枚。
最後の1枚は…これ。



柏の古木の前で、文化祭のメイド衣装を着た私と瑞希君が、ポーズを取っているもの…



まさかこの衣装に、もう一度袖を通す日がくると思わなかった。



柏寮のシンボル、柏の木も撮りたいねと話していた時、

3月になったばかりの柏の木は、緑の葉がなく寒々しい姿だった。


花の季節に写しておけば良かったとぼやくと、

「じゃあ、僕らが花になればいーじゃん!」

と言われて、瑞希君にまたコスプレさせられてしまった……



そして、瑞希君の強い主張で、10枚の中にこのふざけた1枚が入れられた。



私はふざけた写真と思ったけど、瑞希君曰く、

あの文化祭は、亀さんたく丸さんとの結束が強固になった思い出のイベントだから、この写真は必須らしい。




10枚の写真を水色の台紙に張り付け、ページを紺色のリボンで綴じた。



それを2人に手渡し…さよならを言った。



「あの時撮っていた写真は、俺達の為だったのか…

ありがとう…引っ越しが済んだらゆっくりと見させて貰うよ。

じゃあ…みんな元気で…」




タクシーが見えなくなっても、私達は暫く玄関前に突っ立っていた。



亀さん…たく丸さん…

ありがとう……






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