ラベンダーと星空の約束
二階に上がり206号室の前に来た時、瑞希ちゃんが言った。
「ここが“僕”の部屋だよ。
何か分からないことがあったらいつでも聞きにおいでよ。」
「うん。ありが… ん?」
…今…僕って言わなかった?
あれ?聞き間違い?
それとも、そう言う呼び方をする女の子なの?
瑞希ちゃんが言った「僕」と言う言葉に気を取られていると、
床板が少し浮き上がっている部分に気付けず、つまづいてしまう。
「 危ないっ!」
私の一歩前を歩いていた彼女が咄嗟に抱き留めてくれて、転ぶには至らなかったけど………
あれ…?
ない。
抱き留められた私の両手は彼女のバストの位置にあって、
そこに女の子としてあるべき物がなかった。
胸が…小さいどころじゃなく、ペッタンコの固い板みたい。
あ、あれ?あれ?
思わず彼女の体をペタペタと触っていると、
さっきまでの少し甘いハスキーボイスとは違う、低い声が耳元に響いてきた。
「あのさ…僕も男だから…
可愛い女の子にそんなに触られると、息子が起きちゃうんだけど…
それとも僕のこと誘ってるって…思ってもいいの?」