ラベンダーと星空の約束
この人が寮長の亀井戸さん。
清潔感の漂うきちんとした服装。
優しい笑顔と、眼鏡の奥の知的な眼差し。
ホッとしていた。
この寮には普通の人もいるんだ。
個性的過ぎる人が、また登場したらどうしようかと思っていた。
それにしても…
この寮に着いてから「可愛い」と沢山言われた。
私って可愛いのかな?
自分の事は以外と分からない物だ。
弟の青空は
「ブス姉ちゃん」と呼ぶ。
お父さんと大樹のおじさんは可愛いと言ってくれるけど、それは明らかに親バカな感情からだ。
いつも一緒の大樹には、一度も言われたことがない。
自分は可愛いのか可愛くないのか、
それを一秒間考え結論を出す。
そうか、
東京では『初めまして』の代わりに『可愛いね』と言うのが挨拶なんだ。
よし、私も友達作りをする時に使ってみよう。
ドア前で亀井戸さんと簡単な挨拶を交わしていると、
部屋の中からヤツの声が聞こえた。
「あ〜 瑞希何やってんだよ〜 俺も抱っこしたーい。
ゆかりちゃん、こっち来て? 俺の膝の上は君の為に開けてありまーす!」