ビターオレンジ。
外は東京だと言うのに綺麗な星空が広がっていた。
その代わり、
冷たく冬を感じさせる風がとても寒い。
マフラーに顔をうずめ、袖に手を隠す。
が…左手はそんな事をしなくても温かい。
「ふふっ機嫌いいね。」
本当に。
手を繋がれただけでこんなにも舞い上がる自分がいるんだ。
嬉しくて、そしてまた少し悲しくなった。
切なくなった。
苦しくて、辛かった。
だって斗間君が好きなのは咲さんだから。
私じゃないのは分かりきっているから。
でも、そう思う程に欲というのは出てくるんだね。
ずっとじゃなくていい。
あと少しでいいからって。
このままでいてほしいと願ってしまうんだ。
ギュッと握ると微かに笑われる。
だけどちゃんと握り返してくれる。
こんな時間がずっと続けばいいと思うんだ。