ビターオレンジ。
「あ。そうだ。土曜日予定空けておいて。」
何故かわからず、首を傾げる。
するとそれを見てか…
「デート行かない?」
真面目な顔をしてさらりと言った。
勿論ふざけてはいるんだ。
だから、それにドキッっとした自分が恥ずかしいかった。
焦りながらも頷くと満足した様に部屋へと行ってしまった。
熱くなった顔を両手で冷す。
きっと真っ赤なのを見られた。
デートだとは言ってたけど、世間一般で言うデートではない。
だけど、その響きが嬉しくて楽しみな自分がいる。
それを証拠に一瞬だけど抱えている嫌な事を忘れていたから。
早く土曜日になって欲しいなって…。
「也。今日の晩御飯買いに行くよ。」
ソファーとテーブルの間でしゃがんでいた私の隣に座った斗間君は着替えてコートを着ていた。
またその距離に恥ずかしくなって、
残っていた少し冷めている珈琲を一気に喉へ流し込んだ。
そして、うんと頷いて
部屋へコートを取りに行く。
メモ帳も忘れずにポケットに入れて2人で外へ出た。