ビターオレンジ。
.



「食べろ。」


「嫌…無理!絶対嫌っ!!」




差し出されたフォーク。

そして、そこに刺された…




「食え笑」

大量のピーマン…。





買い物から帰ると直ぐに晩御飯の準備を始めた斗間君。


そして、出来上がった料理はピーマンの肉詰め。





勿論、長くではないが一緒に居た為…私の好き嫌いは知ってる。




だから目を点にして出来上がった料理を見つめる私にケラケラと笑ってた。







そして、今に至る。



食べられずにいるのを見てフォークにグサリと指すと私の口元へ持ってきた。




ニッコリと意地悪い顔で微笑んで。


しかも、刺さってるのは肉が抜かれたピーマンのみ。




軽く虐めだと思うのは私だけだろうか。


「手、痺れてきた。早くして。」





そんな事言うなら差し出しっぱなしの手をおろせばいいのに。


だけどきっとそんな事言っても聞いてくれる筈もなく、仕方なくぐっと目を瞑った。




ぎこちなく口を開けると…

暫くした後に口の中へ入ってきた。




「…」


「ふふ笑」





余りの不味さに顔を歪める。


やっとの思いで飲み込むが、
口の中に広がる苦さは変わらず。


「不味い…」


「俺も嫌いだったわ笑」





そう言いつつパクパク食べている斗間君。




だけど、なにか思い出したようにご馳走様と言って立ち上がった。






ソファーの横から仕事用の鞄を持ってきて、

中から四角いリボンのついた箱を取り出しテーブルの上に置いた。





「職場の後輩から貰ったんだけどチョコレートだって。食べる?」



「へ?」






…これも、いわゆる虐めだと私は思うのですが。



「貰ったの…斗間君なんだから私が食べちゃダメだよ…。」



少し焦りながらもそう言うと、んー。と何かを考えながら箱のリボンを解いて蓋を開けた。




中身はいかにも手作りで、
甘そうな砂糖のかかって苺ジュレの乗ったチョコレート。





「あ、…斗間君食べれない。」


「うん。」



やっとわかったか。
とでも言うように頷いた。





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