キミガスキ

コンコン 窓を誰がたたいてる。
もしかして、悠太?
私の部屋と悠太の部屋の窓は、手を伸ばせばすぐ届くほど、近い。
カーテンを開けてみると…

「わ!悠太じゃん!」
「明日、暇?」
「まぁね」
「明日6時半にお前んちに迎えに行くから」
6時半って夜じゃん
「は⁈なんで?」
「とにかく準備しとけよ じゃぁな」

バタン。窓を閉められた。カーテンも。

彼女居るんじゃないの?
わけわかんない。


「凛、起きてる⁇」
「起きてるよ」
「着替えるわよ!」
お母さんは、浴衣を持ってる。
「はい?」
「文句は受け付けません。はい!さっさと立つ!」
「…」
なんで、浴衣?
髪の毛もメイクもお母さんがノリノリでやってます。
「はい完成! いい時間ねー はい!悠太くん来たわよ」

お母さん恐るべし。
「え、」

「よし、行くぞ」
「だから、何処に行くの!」

「夏祭りだよ」

ははは、だから浴衣ね。
え?彼女は⁇


人が多い。夜店がいっぱい並んでる。美味しそう。
ヤバイ、泣きそう。

「やっぱり、帰る」
立ち尽くしている、悠太を置き去りにして。

私、馬鹿だ。
もっと素直になれば、
この想いが伝えられるのに。
簡単なのことなのに。






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