野良猫との一週間


バッグから携帯を取り出したところで男は私の腕をつかんだ。


「俺のこと不審者やとか思っとるん?」

『え、うん。』


即答で答えると、なにを思ったのか男はいきなり吹き出した。

一瞬殴られるんじゃないかと思ったけど、どうやら温厚な不審者らしい。


ひとしきり笑った後、男は立ち上がっていつの間にか彼の手に握られている部屋の鍵で扉をあけた。



『え、は?ちょ、なんで』

「はよ入らな寒くてあかんわ~」


男は、ほら、と私の背中を押していとも簡単に部屋に入ってきた。


『不法侵入で通報されたいの?』


私が頭一つ分は高い男を睨みつけると、男は眉を八の字にして捨てられた子猫みたいな顔をした。
< 4 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop