祠の鬼
話題に出た事など露知らない少年、永津間響は教室で書類を広げていた。



そして嵐が近づいてきている事を、まだ知らない。



「響……何やってんの?」

「見ればわかるだろ。古書店の仕事」

「いや、わかんないよ普通。教室でこんな事してんの、絶対日本中でお前だけだよ」



そう言ってため息をついたのが、古景尋暁(こかげひろあき)。人付き合いが苦手で、響でさえも誰かといるのを見た事がない。



「そうか?」

「絶対そう」



きっぱりと言い切られてしまえば、それ以上は何も言えない。黙ったまま作業を進めていると――尋暁が戸口の方を見ている事に気がついた。



「……響、来客」

「来客?」



確かに女子が立っている。しかしなぜわかったのだろう、と響は首を傾げた。




「でも、どうして俺の来客だって?」

「何となく」



すると、ものの見事数分後に、教室の後ろにいた男子の声が響く。



「おい永津間、女子がお呼びだぜ! お前って意外とモテるよな」



響がちらっともう一度出入り口を見れば、女子は軽く頭を下げた。どうやら森泉は、これを告白だと思っているらしい。



相場と言えば相場だが、今一釈然(しゃくぜん)としないまま響は席を立った。



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