華は儚し
「宗十郎様と私は風邪をひいているようです」
「…そうだな。今夜は戻ろうか、
でないと秋良さんに勘付かれてしまう」
「うふふ…そうですね」
俺は霧里の笑顔にも弱いのか、
小声で独り言をつぶやく宗十郎様だけれど、
当然悪い気なんてせず、
「どうやら風邪は治りそうにないです」
「…同じく私もだ」
同情の念で、私を遊んでくださっているとしても…、
感じたことの無いこの想い、
気持ちをどう表現すればいいのでしょうか。