好きって気づけよ。




“きみの幼なじみの坂野くんにもね、好きな女の子がいるんだよ”


“きっとその子が坂野くんにとっての初恋なんだろうねぇ。何年も片想いしてるんだと思うよ”




屋上で、栗原くんが耳打ちして教えてくれた言葉。



私が恋をすることなんて、考える自体したことがなかった。

それと同じように、凪くんが恋をすることも、1度だって考えたことがなかった。



ずっとずっと、私は幼なじみとして凪くんのそばにいるんだって思っていた。


そんなの、いま考えてみればありえないことなのに。




「凪くんに、好きな女の子がいたなんて……」




信じられないというか、とっても現実味がなくて……。



幼なじみという意味で特別な存在である私よりも、

もっともっと、凪くんにとって大切で特別な存在がいるんだ……。



 
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