落雁

つかまえる




□ □ □



「うーん…」


頭がぼんやりとする。

体が熱い。どこかを中心に、火傷をしているみたいな。


あたしは目を開けた。

1番初めに飛び込んできたのは、天井。
見慣れた木目が落ち着きのない頭を冷やした。

体を起こすと、自分の部屋のようだった。

体を起こしたと同時に、右上半身がずきりと痛む。


あぁそうか、あたしはパトカーでそのまま家に帰らされたんだ。
今何時だろう…。

壁に掛かっている時計を見ると、10時をさしていた。

朝の?夜の?
ぼんやりした頭じゃすぐに分からなくて、窓を見て外が暗いことが分かり、夜だと気付く。

右肩が熱を持ってきつい。全身鉛になったみたいだ。
これは熱を出すよりもきついかもしれない。

そんな状態でさえ、お腹が空く自分の逞しさに笑ってしまう。

布団からのそりと出る。
今の時間からなにか食べたら太っちゃうけど、食べないほど意思は強くない。

起き上がると、目の上に生温い感触がする。

手で触ると、ぬるりとした。
思わず眉をしかめてしまった。
寝ている間に、絆創膏を剥がしてしまったのだろうか。

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