落雁


「…殴られたところは平気なの」

上から声が降ってくる。

「今更怪我の1つ2つ増えたって、変わんないよ」
「本当無茶するよね」

あたしは言葉に詰まった。
違う、こんな話をしたいんじゃない。
もっと何か、大切なことを喋らないと。
だけどそれが何だか思い出せないような、分からないような。

「…無茶してんのはどっちだよ」

あんな大人数を1人で相手しようと言う発想自体が危険だ。

「…確かにお前は強いかもしれないけど、危険すぎる」

初めて見た、司の実力。
数十人を相手するなんて、生半可な事ではない。
きっとあたしなら、すぐに殺されてしまう。

「もっと自分を大切にしろ」

とりあえず頭に浮んだ事をぽんぽんと言った見たはいいものの、もっと聞きたいことを聞くべきだったのではないかと頭を張り巡らせた。

「う、…苦しい」

司の腕の力が強くなる。
ぎりぎり骨には響かない程度だったので、安心した。

「…本当に弥刀ちゃんは弥刀ちゃんだよね」
「は?」

司は笑った。

「…僕の話を聞いてくれないかな」




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