落雁

「おー、なるほど。上玉上玉。あの下っ端たちもちゃんと仕事できんじゃん」

白スーツに続いて、2,3人の男が続いた。
今度は子供じゃない。大人だ。

「は、なせ!!!」
「お嬢ちゃんがやったのかい?」

白スーツはねっとりとした笑顔をあたしに向ける。
知らず知らずのうちに、鳥肌が立っていた。

「め、める、」

芽瑠のほうに目をやったが、芽瑠は他の大人に捕まってしまっていた。

「おい!!てめぇら!!芽瑠にさわんな!アホ!!」

ごつ、と衝撃音がした。
それと同時に、あたしの頭も真っ白になる。

「弥刀ちゃん!!!」

芽瑠の悲鳴が遠くのほうで聞こえた。芽瑠がつれてかれる。まて、どこにいくんだよ。おい。

「もう1回聞く。こいつらやったのは、お嬢ちゃんか?」

床に倒れている4人の男を一瞥した。
どいつもこいつも、だらしない顔で鼻血を出して倒れている。

「…そうだったらどうすんだよ。てめぇがこいつらのアタマか。適当な教育しやがって、女相手にこのザマだ」
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃんは口出しちゃあいけねぇ世界ってもんがあんだよ」

何が口出ししてはいけない世界だ。あたしもその世界に片足突っ込んでるっての。

「芽瑠を離せ、警察呼ぶぞ」
「めるぅ?さっきの女か?いや~、美しいねぇ、友情ってやつか」

髪をいきなり離されて、あたしは床に倒れこんだ。

「気性の荒い女子高生も、悪くねーな。多少傷モンだけど、てめーにはそれがお似合いだ」

あたしの血だらけの顔を見てそう言ってるんだろうか。
鼻血が固まった、あの感触がする。パリッパリだ。最悪。
口は切れるし、きっと顔面も痣だらけ。相当汚い。

「っ、?!なにす、っ」

殴るようにして、あたしは畳に倒された。
あたしが気絶させた男の上に乗りそうになる。

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