落雁

豆鉄砲を食らう




□ □ □



朝6時。


あたしは制服の袖をまくって、準備体操をした。

ご飯も食べ終えたし、体を動かしたい。

暇そうにしている手下と、一緒にボクシングに付き合ってもらおう。


あたしは廊下で仲間と喋りこんでいた、最近入ってきたばかりのサブローくんの肩を叩いた。

サブローも暇だったらしく、快く承諾してくれる。
聞くと、彼は格闘技をやっていたらしい。

丁度よかった。


あたしとサブローはグローブをはめて、念のために頭を守るやつをつける。
甚三にこいつの名前を教えてもらったことはあるけど、どうしても覚えられない。頭を守るやつ。

廊下を出るとすぐに庭園に出るから、あたしは庭の砂利を踏み締めた。

集中して、あたしは右拳を突き出す。

そして見事サブローの顎にクリーンヒット。


「ぐぎゃあっ」


ぐしゃりとそいつは庭に倒れこんだ。
早すぎて、やった張本人のあたしでさえ何が起こったか分からなかった。

「え、え、ごめん!!経験者って言ってたから…」

砂利だらけのそいつを起こす。
鼻から血が出ておられた。

グローブも、頭を保護するやつも着けていたから大丈夫だと思っていたけど。

「へへ、さすがは…お、嬢…」

薄目を開いたけど、すぐに瞼は閉じられてしまう。

「サ、サブロー!!!目を、目をあけてよー!!」
「うっるせぇえええ!!!」

がつんと後頭部を殴られた。

振り向いたら、父だった。


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