今昔狐物語
「姐さん…ありがとう」
夕霧の心がわかり、先程よりはあの旦那に嫌悪を抱かなくなった。
「でもやっぱり、あの人に姐さんは勿体ないよ」
「ふふ、そうかい?」
クスクス笑いながら湯ぶねから上がる夕霧。
(水揚げ…か)
嫌悪と恐怖は薄らいだ。
けれど、根本的な問題がある。
(水真馳…)
初めては、恋をした相手がよかった。
(たとえ、貴方が狐でも…)
人でなくても愛してる。
蛍は大きく深呼吸してから、夕霧に続いて湯ぶねから上がった。