今昔狐物語
「化けもんだわっ!気持ち悪い」
「うち、抱きたくねぇ!」
赤ん坊を抱いていた女性が耐え切れなくなったのか、一人を床に下ろした。
そんな会話を横になりながら聞いていた鞠紗は、呆然としていた。
金色の瞳。
少し尖った耳。
笑うと口から牙が見える。
異形の青年――。
(玖羅加っ……)
鞠紗は確信した。
(やっぱり、あなただったのね。あなたが…しゅーちゃんに化けてたんだ…)
怒りはなかった。
ただ、自然と涙が零れ落ちた。
「鞠紗、どういうこと…?」
母親が話し掛けてきた。
複雑そうな表情をする母親に、鞠紗がなんと説明しようか迷っていると、夫が部屋に駆け込んできた。
「鞠紗っ!」
産婆や母親、その他の女性達が一斉に修平を見た。