今昔狐物語


 鞠紗のお産には村の産婆と近所の女性達、それから鞠紗の母親が手伝いにやって来てくれた。

まだ日が高い頃に酷い陣痛が始まった鞠紗。

夕方から深夜にかけて一人。

深夜から夜明けにかけてもう一人を出産した。

そう、お腹の子は双子だったのである。




「おぎゃあぁー!おぎゃあっ!!」

「おぎゃー!!」

取り上げた産婆は双子を見て驚愕のあまり失神しそうになった。

一見、元気な双子の男の子だが…。


「耳が、尖ってる!」

「歯も生えてるし…これは牙!?」

「さっきこの子、目を開けたよ!しかも金色の目をしてたっ!!」


集まっていた女性達が異形の赤ん坊に身を震わせる。

「誰か、旦那を呼んできてやんな!」

産婆が言った。

すぐさま一人が部屋から出ていく。


 
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