First Love
真っ白な扉に金の装飾で派手にしあげた扉を開けば、
クラシックの優雅な音楽を耳にする。
俺は、実際にはこの家系に生まれてきたわけではなく、
ジハルに拾われて金持ちの生活をしてきた。
故に俺には、
まだ優雅な音楽はどういうのかわからない。
だが、一方で他の奴らは、
互いに手をとり、踊る。
俺は役目を果たすべく、
一人奥で座る仕事のターゲットの令嬢に近づき、
モーニングコートのネクタイを直して、
その女性の前で跪き、右手を出した。
「一曲私と踊りませんか?」
と誘い、
令嬢は可愛らしく頬を染めて、
俺の手を取った。
俺らは音楽に合わせて踊るわけだが、
それを見て、
周りの女たちは口々に雑論を交わす。
「うらやましいですわ。リアン様と踊れるなんて。」
「リアン様は舞踏会の花形ですもの。」
「あの娘みたく、お綺麗なお姿になられたら?」
「あら、そういうあなたも、少しふくよかになられました?」