花とミツバチ



「あいつ経理部の奴でさ、前から藤田に気があったんだよな」

「ついに藤田さんにも春が来るんですかねぇ…」

「……」



小声でぼそぼそと話す周りの声を聞きながらも、耳は二人のほうへと傾く。



「ずっと好きだったんです。藤田さんのこと」

「…あー…すみません、私彼氏がいるので…」

「お願いです!少しでいいから考えてみて貰えませんか!?」

「いや、だから…」



!先輩が彼氏いるって言ってくれた…!

断りやすいから言ったのかもしれないけど、それでも嬉しいものは嬉しい。



(けどあのしつこさはいつかの自分を思い出す…)



「彼氏に内緒で付き合ってみてさ、絶対俺のほうがいいって思わせるから!」



他人事には思えないその積極性…けれどその男は力強く彼女の肩を掴んで顔を近付ける。


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