花とミツバチ
「じゃあ近い所から回って行こうか」
「はい!あ、シートベルトしてくださいね」
「はいはい」
話しながらも隣で車を走らせ始める彼の姿は、何だか新鮮だ。
「あの…藤田先輩、すみません。先輩も仕事あるのに」
「うん、本当。まさか取引先回りに付き合わされるとは…」
「けど藤田先輩って人のこと庇ってくれたりするんですね!」
「…さっきも思ったけど、営業たちが私のことどんな目で見てるかよーく分かったわ」
「え!?あ、いやそういう意味ではなくて…」
いつも注意したり怒ることばかりで、誰かを庇ったりするイメージなどなかったのだろう。
先程の周囲とこの千葉くんの反応に、私は呆れたように笑って手元の書類へ視線を戻す。