花とミツバチ







「……」



その日の夕方、トイレに行くのに席を外した数分の間にデスクの上に置かれていたのは近くのカフェのホットカフェオレ。



「…田中さん、これ誰のですか?」

「?あぁ、さっき千葉が買ってきて…これから取引先行って今日は直帰だから、ってこれだけ置いて行ったぞ」

「…千葉くんが…」



通りがかりの田中さんに話を聞きテイクアウト用のその茶色いカップを手に取れば、側面には『すみませんでした、ザンギョーがんばってください。千葉』とサインペンで書かれた彼からのメッセージ。



(残業くらい漢字で書きなさいよ…)



そう思いながらも、触れる熱さが嬉しい。

わざわざ買ってきてくれたんだ、コーヒーなんて社内の自販機にいくらでも売ってるのに。



そういう気遣いがまた、心を揺さぶるよ




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