彼氏は11才!?
母さんに殴り倒されてしまえ。


「白雪、危ないからこっちへ来なさい」


いつの間にか部屋の隅に避難していた父さんと正宗が私を手招きする。
いそいそと避難する私。

無論、愛人達も避難済みだ。

知子さんはどうやらジャッジ役らしく、二人の間に立っている。

ジリジリと近付きながら相手の出方を伺う母とチンピラ。


正に一触即発という時。


「僕は羽咲家に世話になる」


欠伸をしながらの紅ちゃんの言葉に全員が固まった。
鶴の一声とはこのことだ。


何故!!
何故に我が家!?
明らさまに君の養育費を住宅ローンに当てようとしてるのに!?


「紅一郎君…っ!」


嬉しさのあまり震える母さん。
今の母さんの頭の中では札束が踊り狂っていることだろう。


「ちょ、待てぇ!!何でコイツなんだよ!!」

「そうよ!明らさまに遺産目当てじゃないの!!」

「お前等もな」


チンピラと知子さんに正宗が思わず突っ込む。

お前等だけには言われたくない。


「これは僕が決めたことだ。誰にも文句は言わせない」


凛とした声はやはり紅ちゃんの実年齢を感じさせなかった。
そらこんな家に育てばこうなるかもね。
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