モラトリアム
あっ……あぁ…。
戦慄が走る。
多少、肩が震えた。
彼女がこっちを見ている。
表情は無表情だ。
怒っているのか?
何故に怒る?
いや、まて慌てるな。
俺は何もしていない。
友人は俺の様子を見て、彼女の方を見た。
彼女は笑顔で友人を見ていた。
やばい…。
絶対にやばい…。
お…俺…帰るね、ありがとう。
友人に別れを告げて、彼女の方へ向かった。
どうしたの?今日、会社は?
僕は平静に見えるように立ち回った。
敬太君、メール返って来ないから、心配になって早退して来ちゃった。
彼女は笑顔で答えた。
僕は血の気が引いた。
誰…あの人?
彼女は笑顔のまま友人の方を見ている。
大学の友達なんだ。一緒に昼食食べてたんだよ。
そう…なんだ……じゃあ私、先帰るね。
彼女はそう言うと、何もなかったかの様にその場を去っていった。
この日、彼女からの連絡は無かった。