モラトリアム

俺はテレビを見ていた。
手は真っ赤に染まり、床には穴だらけになった死体が転がっている。
とりあえず、美味しいコーヒーが飲みたくなったので。
コーヒーを淹れる事にした。
今、お湯を沸かしている所である。

熱い一日が終わり、冷静になるのに一晩掛かった。
手がベタつく。所々、血だらけだから掃除しないと。
死体どうしよう。

ピーーーッ。
ヤカンの音がする。お湯が沸いたのだろう。早くコーヒーを淹れて飲もう。
俺は、いつものように台所に入り、自分なりの、コーヒーの淹れ方で香りを楽しみながらコーヒー淹れてた。

台所にいても、テレビの音が聞こえてくる。

おはようございます。ニュースの時間です。先日、○○県○○市で 、飛び出し事故を装い、背後から車道へと押し出し、車にぶつけ、死亡させるという、事件の犯人が拘束されていることが判明しました。
被害に遭い、亡くなった、大学生の○○さん殺害時に、犯人が押していた所を私服警官が目撃、取り押さえて現行犯逮捕されていました。
昨夜の取り調べで犯人は、誰でも良かった、去年から今年に掛けて3人目だった。などの供述が述べられている事も現在、明らかになっています。

え?

俺は彼女の死体を見る。

彼女は笑顔でこっちを見ていた。
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