好きなもんは好き。
「ごちそう様でしたっ。」
やっと完食したお弁当に向かって手を合わせて言う。
いやー、お腹いっぱい!
紫乃を待たせすぎてあたしのいちごオレ飲まれたけど!!
まあ舞香ちゃん寛大だから!許す!!!
…はい、すいません調子乗りました、はい。
そんな時、制服のポケットから小さな振動が伝わる。
「んー?誰からだ?」
振動の主であるスマホを取り出すと、珍しい人からメッセージが来てた。
「照(てる)ちゃん!!?」
「うっるさ、いきなり叫ばないでくれる?」
「ごめんごめん、だって久しぶりすぎてびっくりしたんだもん☆」
「照って…、ああ、恭平くんの弟だっけ?」
「そうそう!」
あたしは照ちゃんなんてちゃん付けで呼んでるけど、れっきとした男の子。
そして、恭平の弟。しっかも、イケメンなんだな〜、これが!
恭平の弟ってことは必然的にあたしとも幼馴染になるわけで。
まあ、小ちゃい頃はちょいちょい遊んでたけど、そこまで一緒にいたわけじゃないんだ。
照ちゃんどっちかって言ったらツンデレだし。ツンツンデレって感じだし。
そして照ちゃん今中2。思春期真っ只中。
だからか最近に至ってはあんまり関わりなかったんだけど…どうしたんだ、急に…?
不思議に思ってメッセージを開くと、“恭平と連絡取れないんだけど。舞香伝言して。”だけ。
「パシリかよ!!!!」
もうビックリしすぎて思わず叫んだよね!!!
照ちゃん!一応ねあたし年上!一応君のお兄様と同い年!!
お兄様と連絡つかない時用のパシリちゃうんやぞ!!!!
「舞香の扱い雑…っ!」
ほらもう珍しく紫乃爆笑してるから!!
もう!!
とりあえず照ちゃんに返信を返すためにキーボードを引き出す。
『照ちゃん!君のパシリじゃないけれど!一回だけなら伝言を聞いてあげよう!』
『うん、舞香のキャラ何キャラ?まあどうでもいいけど。』
即座に返ってきた返信がこれ。
どうでもいいって何!?何なの照ちゃん!
『恭平に、ケチャップ切れたから買っといてって言っといて。』
続けてきた返信。
いや、伝言ってまさかこれ…?
ケチャップなの…?