約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く

50.東からの新隊士 -瑠花-



充電がなくなった携帯を握りしめながら
心の中、舞を思う。


……舞……今頃何してる?


私は……いつも通り、
京で精一杯生きてるよ。



「瑠花、それは?」



総司が刀の手入れをしながら問いかける。




「遠い未来の文明の利器。
 
 携帯電話って言って、長州にいる舞と簡単に連絡がつけられる
 そんな機械だよ」

「だったら……その機械とやらがあれば関東を旅してる、
 近藤さんの声も聞けるのですか?」


総司が目を輝かせるように刀を手入れする手を止めて
近づいてくる。


「この世界で使えればね。

 だけど電池が切れた今は意味のないアイテムかな。
 だけど……なんか、懐かしくて」

「舞さんがここを離れて二月以上経ちますからね」

「うん……」


総司の言葉に思わず真っ青な空を見上げる。


建白書事件の後、近藤さんは隊士募集に屯所を留守にした。
花桜は何時も山南さんと一緒に居ることが多くなった。


そして私は……こうやって、総司の傍に座って
一人の時間はポーっといろんなことを考える。


考えることは私の未来の記憶。
これから起こる出来事。


私がそろそろ気になってきてるのは、
次なる新選組の台風、伊東甲子太郎。


確か近藤さんが、関東に出掛けた後に一緒に帰ってくるんだ。
そして翌年の二月には山南さんが旅立っちゃう。



そんな史実の出来事に心の中は穏やかじゃない。



山南さんの死が避けられるものなら、
花桜の為に、避けたい。



だけど……その死が変えることのない運命ならば
私は……。



「瑠花、どうかしましたか?
 少し怖い顔をしています」



総司が心配そうに覗きこむ。


「ううん、大丈夫。
 少し未来の事を思い出してたの」


「未来の事……。

 瑠花が語りたい、その話を僕が一緒に話し合うことが出来れば
 どれだけいいでしょうか?

 だけど僕には、未来のことだけでなく今のことすらわかっていない。
 僕たちは……何処に向かおうとしているのでしょうね」





僕たちは
何処に向かおうとしてるのでしょうね。





そうやって呟いた総司の声がやけに耳に残った。




「総司、少し出掛けて来るね」

「供は必要ですか?」

「屯所内だから。

 気になることがあるから、
 山南さんところに行ってくる」

「山南さん……先日、見かけた時も少し思いつめた顔をしていました」



総司はそう言って黙り込んだ。

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