約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く



「はいっ。
 こっちは山崎さんから花桜へ預かってきた」



そうやって木箱を手渡すと、花桜は嬉しそうにその箱を開ける。

なかから姿を見せたのは螺鈿細工が施された簪。


「うわぁー、綺麗」


花桜は愛しそうに、その簪を抱きしめる。



「ねぇ、花桜。
 私、花桜が少し羨ましい。

 簪ってね、その身で命を守ることもできるから、
 『お前を守る』っとか『一生添い遂げる』って意味があるのよ。

 だからちゃんと、その思いを受け止めるなら、髪結いに使うんだよ。
 それが返事になるんだからね」



山崎さんの気持ちを知ってる私は、思わず気が付かなそうな花桜へとしっかりと伝える。




そして私は、その後も広島で見聞きした出来事を花桜へと話し続けた。
明け方まで、久しぶりに話し込んだ私たち。





私たちはこれから来る歴史を知ってる。




そして新選組の為に何かをしたいといいながらも、
広島で薩摩と繋がって、何かを為そうとしている伊東さんに対して、何かを出来たわけでもない。




まもなくして始まった長州第二征伐。

将軍家茂公の死。
中止を告げられた長州征伐。

徳川家最後の将軍の誕生。
孝明天皇の死。



激動の時代は、その歩みを止めることなく変革を刻み続けていた。






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