あなたの心理テスト(ホラー)
 「あー、奥の本ですね?」


  愛想のよさそうな男の店員が、


カウンターに行くとすぐ梯子を担いで努たちについてきた。


さっき来た時と同じように表紙の女性が誘い掛けたが努は無視。


後ろで蘭が見ているし、さっきも言ったように、興味がないのだ。


 そして『例』の場所についた。


―――――奥まで梯子を担がせるなんて、悪いことしたな。


 努は申し訳なくなった。


がたん。


 梯子が置かれ、あっという間に店員は本を取ろうとする。


「はい、どの本ですか?言ってください」


「えっと……」


 努は欲しい本を探した。


いや、本来探す必要などない。努は場所をしっかりと覚えている。


あんなにも飛び跳ねたのだから、覚えていないはずがない。


だけど、努は探した。あの本を。


―――――あれ?


 努は異変に気が付いた。


 蘭は努と店員のやり取りを見ているだけだ。


まあ、蘭は努の欲しい本はどれか知らないのだから、探すこともできない。


努は蘭に事情を話した時、『ある本』としか言っていないのだから。


―――――おかしい。


 努の額からはまた脂汗が。


もう今日で何回目だ、と努は思った。


―――――なんでだ?無い。無い。無い!!


   あの本が……無くなっている!!


 確かにそこに本はあった。なのに無くなっている。


誰かが努たちのいない間に持って行ったのだろうか?それも考えられる。


しかし、本のことで頭がいっぱいになっている努に、そんな考えは浮かばない。


努の頭の中では、どうして?がリピートされている。


―――――あんなに、苦労したのに…。やっと手に入ると思ったのに…。


 今度は冷や汗が背中、額、足、全身に。


その場でぽかーんと口を開け突っ立っている努の姿は何とも笑えるものだ。


蘭はくすくすと笑っている。


「どうしました?どの本ですか?」


 店員が笑いを堪えながら首を傾げた。
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