あなたの心理テスト(ホラー)
 「ふうん。努って思ったより、馬鹿なのね」


 再び蘭の眼鏡がきらりと光る。


「っおい!なんだよそれ!?」


「何つまらない意地張って店員さんを呼ばないの?取ってもらえばいいじゃない」


努は冷静な蘭の意見に何も言えなかった。


 努も薄々、つまらない意地張ってるな、俺。と、思っていた。


 しかし人間は面倒臭い。


一回意地を張ったら張って張って張り倒すまで張らないと後に引き戻せない人もいる。


努はそういうタイプなのだ。


「呼べないの?恥ずかしいの?」


 蘭は不思議そうな顔をして努の顔を覗き込んだ。


それは額と額が、唇と唇が触れそうなほど近かった…。


「おい、近い近い!!わかったって。呼べばいいんだろ!?」


 努は急いで2歩後退し、蘭の目を見ずに言った。


努の頬が赤い。


さすがの努も照れてしまったのだろう。


成人向けの小説は無視できるのに、実際の女子に迫られると、弱い。


―――――ふうん。努って意外とピュアなのね?いじりがいがあるわ…!


 蘭はひそかに笑っていた。


 努はまだ頭が混乱しているのか気づいていなかった。


「す、すいませーん!!」


 努は授業参観の時の子供のように大袈裟に手を挙げた。


しかしここは一番奥。店員など誰一人来ない。


「すいませーん!!」


2度目でも誰も来ない。


 蘭は叫ぶ努の姿を楽しそうににやにやと見つめていた。


「おい、蘭。誰も来ないんだが」


くるっと後ろを振り向かれたため、蘭は急いで無表情になる。


―――――なんで笑ってんだ、なんて聞かれたら答えられないわ…。


「来ないんだ、って仕方ないじゃないの。


 自分の足でカウンターまで行って呼べばいいじゃない」


―――――仕方ないな。


努はしぶしぶカウンターへと足を運ぶ。


蘭は歩く努の後を追った。
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