あなたの心理テスト(ホラー)
 「ちょっとくるみ、言葉には気をつけなさいよ?」


 くるみの横に立っている知的女子、阿片蘭(あがた らん)だ。


いかにも真面目そうな黒縁メガネをかけ、さらに期待を裏切ることなく、成績優秀。


このメンバーの中で一番頭がいいのは他でもない、蘭だ。


だからテスト前にはヨシ、努、海斗、くるみ…


全員が世話になっている。


 海斗とくるみは成績がいい方ではない。


というか、悪い。


なのにまあ、よく飽きもしないで教えるものだと努は尊敬している。


努もこの二人に教えられない、というほどの頭ではないが、苦労した。


同じことの繰り返しで先に進まないのだ。


 そんな事実があったからこそ、努は蘭を尊敬している。


「何よぅ~!別に本気で言ってなんかないじゃんかぁ~!」


「普段から言葉には気を付けるべきよ。口は災いのもとって言うじゃない」


「むぅ~!何それぇ!そんな言葉知らないっ!」


「正確にはことわざね」


「同じ同じ!日本語なんだから」


言い争いが続く。でもいつものメンバーだからこそわかる。


―――――この二人、本気で言い争ってなんかない。


本当に怒った時にはもっと怒りの表情が覗いてもいい。


でも笑っているのだ。この二人、言い争いながら。


―――――ケンカするほど仲がいいっていうのもまんざらじゃないな。


努は思った。


「あ、そぉそぉ!蘭と言い争いなんかするんじゃなかった。


 あたしが今日皆に言いたいのはぁ~…、これです!!」


 急に叫んだかと思えばくるみが通学用のカバンから何かを出した。


「「「「何…?」」」」


皆一斉にくるみの手元を覗き込んだ。
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