あなたの心理テスト(ホラー)
 くるみが取り出したのは、


「「「「本?」」」」


黒いブックカバーのかかった本だった。


 期待に胸を膨らませていたヨシはがっくりと肩を落としている。


ヨシ的にはゲームやらお菓子の方が好ましかったのだろう。


 しかし、ほかのメンバー、つまり努、海斗、蘭は興味津々だ。


―――――本は本でも、内容は?


そればかりが3人の頭を支配していた。


「この本、何の本だと思~ぅ?」


 くるみからクイズが出された。


 ヨシはすでに興味がないようだ。


「ヒントはね~ぇ、ナッシング!!」


「くるみ、あなたナッシングなんてどこで覚えたのよ?」


 冷静な蘭のツッコミが入る。


「おいおい、隠してねえで教えろよ!仲間だろ~?」


 海斗は今すぐ知りたいようで、両手を合わせて頼み込んでいる。


「え~、海斗のお願いなんて聞きたくないなぁ~。ヨシから頼んでくれたらいいよっ」


「んだと!?俺のお願いは聞かないだあ!?」


 少し不機嫌になる海斗。


 まあ、くるみはヨシにしか興味がないのだから無理もない。


ヨシ以外の男は言ってしまえばどうでもいいのだ。


「ほら、くるみもああ言ってることだしよぉ、ヨシ、頼むぜ!」


 ヨシの肩をバンと叩く。


「はあ?別に俺はそこまで知りたくは―――――」


「ほらほらほらほら!!ヨシも知りたいってさーー!な、くるみ。教えてくれよ!」


言いかけた言葉を遮って無理やりくるみを説得しようと必死な海斗。


「え~…。納得いかないんだけどぉ…。まあいいや。


 どっちみち言うつもりだったしねぇ~」


―――――やっと本の内容がわかる。


 努は楽しみだった。


なのに、


ぞくっ。


寒気がした。
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