恋愛メンテナンス
「モモちゃん、いきなりソレはないって」

「早く教えてよぉ♪」

「よしよし…よしよし…って、頭撫でられたの。その時、思わず手に触れちゃった」

「ソフトタッチかぁ~…キャン♪」

「不思議だねぇ、やっぱり子持ちなだけあって、よしよしされて安心したわぁ。さすが父親だわぁ」

チクショー!ガキのキモチを理解しちゃう私も、ガキって認めてしまったようなもんだけど。

「そっかぁ。でもそこで、としこっちが安心しちゃ今はダメだと思うの。永田さんが、安心できちゃう女にならなきゃ」

「いやいや、そういうモノはサタンの申し子は求めてないと思うけど」

「としこっちの運転手やってくれて、隣りにも座って、常にとしこっちの側に居る訳でしょ?今も真下に居るんでしょ?」

私はジャージャーと、トイレの水を流す。

「うん、まぁ。なんか、私の観察してるみたいな事も言ってたわ」

「永田さん、としこっちの事たぶん好きになると思うよ。この際、ハッキリさせたら?早く奥さんの事、忘れさせちゃいなよ」

「えぇっ?!…」

「もう思いきって、としこっちから誘ってキスしちゃったら?キスした後の男は、火が付いたようにガラッと変わるから。永田さん、としこっち無しでは生きて行けなくなるはずだよ」

モモちゃん…。

「今は些細な事も、全部チャンスやキッカケだと思って、それを活用しなきゃ。トイレ掃除で、ラブが芽生えちゃうかもだよ!」

ジャージャー…ジャージャー…

トイレの水を流していると、

ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!!

「ごめん、誰か来た。切るね!」

私は電話を切って、玄関へと走って開けた。

すると、

「てめぇ、いい加減にしろや」

永田さん?!

「トイレの水流し過ぎだろがぁ!しかも仕事の愚痴ばっかこぼしやがってぇ!わざと聞こえるように言ってんだろ?!あぁっ?!(怒)」

「チッ…盗み聞きしないでよねぇ~だ」

永田さんは怒りのあまり、どんどん中へと入ってくる。

「盗み聞きぃ?!てめぇ次、同じ事したらマジでクビにしてやっからなぁ」

「…どのツラ下げて、ほざくんだぁ?仕事の事をプライベートに持ち込んでぇ~♪って、あんたのマネ」

私はふざけて、永田さんのマネして言ってやった。

「永田さんが変人な事は充分理解してますけど。盗聴みたいな変態行為は止めて下さい。しかもプライベートの時間なんだから、仕事の上司の立場を利用して、クビだのって脅すの止めて下さい」

「てめぇなぁ~…」

永田さんは私を壁へと追い込み睨む。

「ペラペラ、ペラペラ、要らん事ばっか言いふらしやがって。それも俺からしたら迷惑行為だぞ?人権侵害だぞ?なぁ~?…」

フーンだ。

あっかんべぇーだ。

「一つ確実な事だけ言っとく。便所掃除も仕事のうちだぁ。それだけは絶対させるからなぁ、アホ女がぁ!」

アホ女?!

おい、ちょっと待て!

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