恋愛メンテナンス
怖いわぁ。

でもさぁ、仕事は仕事だもんね。

輝の見立てじゃ、私は全然仕事出来ないんだって認識だから、仕方ないか。

そこは輝のよく言う、社会人として。

上司の指示には、従わなきゃダメだもんね。

公私混同しない輝の誠実な性格も、嫌いじゃないよ。

…もっと、頑張れって事か。

輝が帰って来るのを待って、とりあえず職場で無視してた事を謝ろう。

あんだけアイツの愚痴も吐いたから、スッキリしたところで、この私から歩み寄ってやろうではないか。

夕方過ぎて、輝はようやく帰宅した。

車から降りた直後を狙う。

私は部屋を飛び出して、輝の元へ。

「輝っ!…お疲れ様ぁ!」

「…んあぁ?!(怒)」

うげっ…!

何よ、その態度。

ムカツク!

ムスッとして、遠くを睨む。

「あのさ、輝。無視してごめん…。なんかさぁ、ちょっと、やっぱり、自分の中でなかなか納得がいかなくて。こんなに頑張ってるのに、認めて貰えないのが悔しかったもんだから…」

私、今かなり素直。

もう、謝るの嫌いなのに。

輝には、すんなり謝ってあげる私って、本当に素直っ。

「……」

おい、なんか言えよ。

「ちょぴり上司に歯向かっちゃいました。本当に大人げなくて、ごめんなさい」

偉い!

頭まで下げてやったわ。

「……」

だから、なんか言えっての。

「私、もっと頑張るからね」

「…別にぃ…。ってか、別にぃ美空さんは、そこまで頑張ってくれなくていいから…」

「あぁっ?!(怒)」

輝の言葉に思わず、私も声が出た。

そして、そのまま真っ直ぐ視線を向けられて、強く言われた。

「だいたい、それぞれ個々で仕事の出来るキャパは、最初の段階から決まってる…」

「どういう意味よ、それ…」

真面目に聞き返した。

なんだか、貶されてるように聞こえたから。

「どんだけ頑張っても、キャパの狭い奴は、そこまでしか出来ないって事…」

「私がそうだって言いたい訳?…ねぇ、それ凄く遠回しのようで、仕事出来ない奴だって聞こえるんだけど?」

それは、さすがに突っかかる所でしょ。

輝は、涼しい顔して感じの悪い笑顔で言った。

「…あんたが頑張ってくれても、なんの戦力にもなりません。…どう、これで納得して貰える?」

「バカァ!!輝の大バカ野郎!!もぉぉっ!大ッ嫌い!!」

すっげぇ、久々に頭に来た!

マジ死ねコイツ!とか、彼氏に対して殺意が芽生えたわ。

私はムカつき過ぎて、輝をド突いてアパートの階段を掛け上がった。

ムカツク!ムカツク!ムカツク!

謝ってやって、更には頑張るよって言ってやったのに。

頑張ってくれなくていいって、上司が普通そんな事を言うか?!

おまえが面接したんだろ!

やる気マジに無くした。

能力が決まってるだとか、はぁ?意味分かんない。

それを伸ばすために、日々の作業に勤めてるんでしょ?

輝、マジ許さん!



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