恋愛メンテナンス
ピンポーン!ピンポーン!ピンポーン!…

シャワー上がりの輝を狙って、今夜久しぶりに食べてやる!

機嫌の治った私は、101号室のインターホンを連続して押す。

ガタッとドアが小さく開いた隙間から、輝が不機嫌そうに警戒して見る。

「輝っ!」

私は図々しく、ドアをグイッと大きく開けて輝に抱き着いた。

「と、としこ?」

キャーッ!久々に名前で呼んでくれた。

「輝、いい匂いするなぁ」

「あぁ、まぁ、シャワー上がりだから…」

やだ!可愛い!照れてる!

静かにドアを閉めて、巻き付く私を輝も抱き締めた。

「輝、やっぱり大好きだよ…」

「そりゃあ、もちろん俺もだけど。ど、どうしたの急に…」

戸惑ってる表情も、たまんない。

たまんないから、そのまま部屋のソファーに押し倒した。

「輝が大好きだから、ずっと彼氏で居て欲しいから、今回の喧嘩。もう仲直りしよ?」

私は、これでもかってくらい身体を押し付けて誘う。

「許してくれんの?…俺の事…」

輝も私の横髪を流しながら、足を巻き付かせて甘えて聞くから、

「許しちゃう。輝だからだよ?他の男だったら別れちゃうけどぉ」

「マァジィ?」

「マァジィ…だよ?」

キスして、電気消して、またキスして。

吐息混じりに、輝がセクシーボイスを連発。

「としこぉ…マジ愛してる…俺が全部悪かったからさぁ…今夜はおまえの好きにして…いいよぉ?…」

「好きに、いたぶっていい?」

私は輝をヒョイと覗いて、茶目っ気たっぷりで聞いた。

「いいって…早くぅ…早くキスしてくれよぉ…」

低い声で囁きながら、私からキスを求めて、催促で髪を撫でまわす。

「輝…素直で可愛い…頂きマース…」

結局、今夜はソレして仲直りが私の目的だった。

骨抜きにしてヘトヘトの輝に、腕枕されながら私は輝に宣言した。

「輝に教わったから、ここまでやれるんだって自信で、更には輝みたいに仕事バリバリやりたい。だから私、清掃作業のこの仕事頑張るからね」

そう言うと、輝は穏やかに笑って天井を見て何か考えていた。

…やっぱり、何か輝の中で考えてる事があるんだね?

「おぉ、頑張ってくれ」

パッと見つめる私の目を輝は捕らえた。

何か言いたそう…。

悩みの種で、私は八つ当たりされていた。

仕事の事だよね?

本社からは、重要な人材として求められてる…。

もしかして、あの奥さんや子どもと実は離婚してなくて、単なる別居中だとかで…。

それで何か、家族の事と仕事の事で悩んでるの?

だから、胸のうちを誰にも相談出来ない…とか?!







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