紅茶遊戯
だから今まで、気付かなかったけど小林って、普通にちゃんとしたら。
結構ハンサムなんじゃないの?

などと私が、隣に膝を折って座り、下世話な好奇心に満ちた顔で横顔を観察している間にも、当の本人は真剣な表情で外部のネジを外し、カバーを取った。


「これ、レンズが汚れてる」


DVDプレーヤーを持ち上げて内部をしげしげと見ながら、「レーザーダイオードもたぶん大丈夫だな」やら、「ディスクも回ってるし、ピックアップもずれてない」やらと、私には到底理解困難な言葉を呟いている。


「レンズ、綺麗にしたら大丈夫ですよ。今夜これ、観れます」


パチリと目が合う。
DVDプレーヤーのことなんかより、小林を見てたことがバレたんじゃないかと咄嗟に私は目を逸らそうとしたが、小林は膝に置いたDVDを私に差し出し、満足そうに微笑んだ。


「ありがとう…」
「いいえ」


別にこのぐらい、と、指先で鼻を擦るのは照れ隠しだって、知ってる。


「小林くん、こういうの、得意なの?機械の修理とか」
「得意というか一応俺理工学部なんで。機械を見たり触るのは好きです」
「そうなんだ…」


私たちはほぼ同時に、カップを手にして紅茶を飲み込んだ。
部屋の中が寒いから、大分温まっている。


「小林くんってさ、うちでのバイト、向いてないんじゃない?」


自分じゃなんの用意もなしに、気が付けばそんなことを口から漏らしていた。
言ってから、ハッとする。
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