私は異世界の魔法使い?!


目眩がして視界はグレーの世界。

時折ザザッと砂嵐が目の前を駆け抜けていき、気分は悪いなんてものではない。

嘔吐感から胸を押さえつけ、前のめりになった。

強風にあおられているせいで、胃の中までも渦を巻いたように荒れているのがわかる。


「何か言いたげですが、やっと降参する気にでもなられましたか? そうなのだとすれば早く、意識を失われる前に降参して下さい」

「……こっ、こうーー」


降参ーー。

……そう言葉にすればたった四文字なのに、それが上手くいかない。

これ以上口を開けば、きっと胃の中のものを全て吐きだしてしまうから……。

苦い唾液が口内にジワリと滲み出て、それが更に気分の悪さを助長する。

視線は相変わらずグレー 一色。

揺れる脳に引っ張られてか、意識も霞みだす。


もう、ダメだ。


そう思った瞬間体の力は抜け、私の体は大きく仰け反った。


ガクンッ、と大きく仰け反り動かなくなった私の体。

目を瞑り視界を遮り、体は自分のものではないように動かない。



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