私は異世界の魔法使い?!
「本当に強情な方ですね」
「そうよ、それが私なの。こんな私と結婚なんて、考え直したくなったでしょ?」
足を振るわせながらなんとか立ち上がろうとするが、どうしても体を支える事が出来ない。
膝をつき、息が上がり、さっき攻撃を受けた傷がどんどん体を引き裂こうとする。
そんな痛みで気が狂いそうだ。
けれど視線は男を捉えたまま、ぶれる事はない。
その様子を黙って見つめた後、男は再び口を開いた。
「……いいえ、それでこそ私の見初めた相手……」
「……えっ?」
最後の声がか細く、聞き取れなかった。
聞き返そうとした瞬間、男はほんのり笑みを乗せた。
「負けを認めないというのであれば、最後までお相手いたしましょう!」
男は杖を大きく振るい、場内に風を呼んだ。
吹き込む風はそよ風からどんどん強く吹きはじめ、強風となり渦を巻いて荒れ狂う。
荒れる風は私の体を簡単に宙へと巻き上げてしまう。
「気をつけてください。さっきたくさんの血を嗅いだせいでかまいたちはかなり凶暴化していますから。だから早くーー」
忠告する男の言葉を遮り、私は腹の底から叫んだ。
喉が避けそうなほどに叫んだ声は男の声も風の音も抑えて場内に轟いた。
「ーー来い! イフリート!!」