私は異世界の魔法使い?!


「カモタケツさん!」

「なんじゃ?」

「あの杖、借りてってもいい!?」


私が指差す先にあるのは、ベッドのそばにある小さなチェストに置かれた杖。

二本の黒い枝が拗れて連理し、その上に赤い石の乗った杖。

昨日私と共に戦って、魔人まで呼び出した戦友。

あれがあればカイトなんかの力を借りなくったってなんとかなるだろう。


「あれか……まぁ、良いじゃろう。昨日の戦いを見ている限り、杖も実亜に仕えることを良しとしておったしの」

「やった! ありがと!」


部屋を駆け、チェストの上からそれを取って、カイトが待つ扉の前までやって来た。


「二人共、くれぐれも気をつけて行ってくるのじゃぞ」

「はい、行って参ります」


カモタケツの言葉にカイトは深々と頭を下げた。

その横で私は笑顔で手を振った。


「うん、行ってきます!」


微笑むカモタケツを部屋に残したまま、私達は扉を閉めた。



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