私は異世界の魔法使い?!


カイトの目が明らかに私を疑って探ってるみたいに見えるけど、とりあえずミアに会うまでは伏せておこうと思う。


「とにかく、迷宮の森まではここからかなりの距離がある。お前に魔力があるというのなら、この城壁を出た後お前の魔法で移動するぞ」

「えっ、なんで? 宮殿内に移動した時みたいに、その剣でバサッと切ってズバッと移動すればいいんじゃないの?」


疑問符を投げかけている間に、宮殿を囲う城壁にたどり着いた。

相変わらず壁には一切の戸口も見当たらず、上を見ても横を見ても壁の終わりが見えない。

そんな壁の前に立ち、カイトは剣を取り出した。


「魔法は無限の力じゃない。力には限界値があるんだ。この場所から宮殿内に入る距離であれば問題無いが、それ以上に迷宮の森までの道のりは長い。

それに俺は万が一の事態に備えて力はなるべく温存したいからな」

「万が一の事態……?」


なにそれ、なんか嫌な予感しかしないワードじゃない。

カイトは剣の先を壁に向けて掲げる。

すると、入ってきた時と同様に壁は口を開いた。



< 216 / 700 >

この作品をシェア

pagetop