私は異世界の魔法使い?!


「ああ、森だけでなくそこへ向かうルートはあまり治安のいいところとは言えないからな」

「えっ、なにそれ! そんなの自分だけ力を温存するなんてズルい!」

「そんなもの、情報提供代に決まってるだろ。それに道案内までしてやるんだ、安いもんだろう」

「人でなし!」


喚く私を置き去りにして再びカイトは歩き出す。

開いた壁をくぐり抜け、視界に広がるのは砂漠。

けれど壁の外に出ようとしない私を見て、剣を収め、溜め息のおまけと共に頭を掻いた。


「だからさっきから聞いてるだろう。お前はどの程度魔法が使えるのかと。なにも全て使えって言ってる訳じゃない。力の一部だけを利用して移動出来るところまで移動しようって言ってるんだ」

「だからそんなの分かんないんだってば」


まだカイトを睨み続け一歩も歩き出そうとしない私に、今度は呆れた様子で頭を掻いた。


「それならその杖に聞いてみればいいだろ。お前の力と意志を元に魔法を使うんだから」



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