私は異世界の魔法使い?!
空間ごと切り取られ移動しているように感じるが、それも束の間。
その感覚から解放されたと思った瞬間、杖は再び口を開いた。
『……到着した』
その声に反応し、ゆっくり目を開ける。
開けた先に広がるものは、開け放たれた開放的な大森林だった。
けれど私の知っている森とはだいぶイメージが違う。
木々は真っ黄色で、付けた葉は一枚一枚がそれぞれに違う。
この空に浮かぶバルーンのような惑星と同じで、その色味のカラフルさときたらかなりポップだ。
「これが、森?」
カイトの手を離し、それによってカイトも目を開いた。
「ああ、そうだ。ここが迷宮の森だ」
言って、カイトは森に向かって歩き出す。
その後ろを追って、私も歩き始める。
森は広大だがそれ以外には何もない。
森の回りにもただ砂地が広がっているだけ。
街も広場もマーケットも無い。
あんなに大きな宮殿すら見えなくなっていた。