私は異世界の魔法使い?!



……そう思うと無性に泣きそうになって、自ずと頭が下を向く。

向いた先には、ベッドに横たわる私の姿。

普段、自分の姿をこうも客観的に見る事なんてない。

だからなのか、こうやって見ていると、あれは自分ではないような気さえしてくる。


それはどこか、人形のよう。


けれどどう考えても体の透けている今の自分よりは格段に人間らしいのだけれど。

だけどあそこにいる私は、ただ横たわっているだけ。

むしろ眠っているだけのようにも見える。


……そうだ、これは夢なんじゃない?


溢れ出しそうになっていた涙を必死に戻し、混乱していた頭の中を整理した。

突然の状況に頭がついていかず、思ったのは……死。


だけどそうじゃないかもしれない。むしろそうでなければ納得できない。


朝目が覚めたら、心臓止まって死んでました……なんて、どこの高齢者だ。

本当はただ、夢を見ているだけなんじゃないのだろうか。

もしくは幽体離脱とかいうやつ?

どちらにせよ、それならばまだ死んだ訳じゃない。



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