私は異世界の魔法使い?!
「そうだ、これは夢なんだ! うん、きっとそう」
そう呟いて希望を持とうと奮い立った瞬間、
「ーー違うよ。これは夢なんかじゃないんだよ」
私の言葉を打ち消すように、あっさりと、きっぱりとした言葉が私の元へやってきた。
それはどこからとも無く、突然に。
「……誰?」
眉間にシワを寄せながら、声のした方を見やる。
私の背後にひっそりと、同じようにフワフワと浮いている人物を……。
「初めまして、僕はノア」
ふっくらとした頬、くりくりと大きな赤い瞳。
愛らしいチェリーのようなツヤと張りを持つ唇。
そんな可愛らしい口元が小さく微笑んでいた。
少年……いいや、幼児か?
とにかく、そんな言葉が連想する幼い子供。
だけど私の瞳は裂けんばかりに見開いて、見入った。
それは……幼児の金色の髪から突き出た、二本の大きな白い、耳に。